狂気の科学

狂気の科学 真面目な科学者たちの奇態な実験

レトU.シュナイダー著 石浦章一・宮下悦子訳 東京化学同人

自分流の要約

普通はやらないような実験を思いつきまたは偶然によって行った結果、思いもよらない示唆に富んだことが分かるようになった。科学者は真面目にやっているから、変な実験ある?って聞かれてもわからないが、彼らのやってる事自体が変なのだということがわかったらしい著者。

1600年 伊パドア出身 医師 サンクトリウス約30年間天秤上で過ごした。あらゆる家具を天秤化して、摂取排泄による体重変化を測定して「医学静力学について」出版。人間の排泄する量は、接種した量の一部分に過ぎない法則を見出す。→汗の存在を示唆

1620年 フランドルの学者 ファン・ヘルモント 予めに柳と鉢の重さを測定した結果と、5年植栽した後の重さを測定した結果を比較した人物。アリストテレス四元素説を疑問視し、聖書の創世記の初めから存在した水こそが元素の本質である考えを念頭にこの実験を行った。以前に思考実験で同様のことを行った人はいたが、実際に測定した人はいなかったと言われている。定量的に植物が成長するには水が必要であることを示した。やがて、水以外にも光、空気、無機物も必要であり光合成のことが分かるようになる。その先駆けの実験となった。

💡アリストテレスは思考実験を重要視して、観察による科学実験を軽視した。現代では、アンチアリストテレスの風潮があるが「思考実験」自体はいいことだから、今まで全然やってこなかったけどやっていこうと思う。ガリレオアインシュタインは思考実験によって成果を経たから、やって見る価値は多いにある。

1792年 仏天文学者 ド・メラン オジギソウは葉を夜閉昼開する。暗箱に入れてもこの性質は継続したことから内部時計の存在を突き止めた。しかし彼の友人は、王立科学アカデミー宛の論文で「太陽の存在を見ずに感じ取れる」と間違った結論をした。彼自身は取るに足りない研究結果だと思って発表しなかった。

1772年代 国王お抱えの歌手でカストラート(少年期の声をおとなになっても保つために去勢した男性歌手)ライデン瓶という電荷を蓄えられる装置が発明されるとパリで一列に並んで手を繋いだ人たちを感電させて驚かすのが流行した。その中である噂、パリの学校で60人感電させるはずが、6人目で止まってしまう現象がおきて、その男性は股間を所持していないと疑われている人だったために「造物主に呪われた人は、感電できない」噂が生まれた。これを確かめるべく、上の人物を使って宮殿で実験したが関係なかった。その人が立っている場所が電気伝導率に関係していた。たとえば、地面が湿っていると、足から大量の電気が地面に流れてアースされる。

1825年 瀉血(病気治療のため血液の一定量を除くこと血抜き)軍医ウィリアム・ボーモンド 兵士の胃に穴が空いたが奇跡的に生き残り86歳で死んだ。彼を利用して胃液の性質を調査した。消化は生命力による神秘的なものではなく、化学反応であることを示した。モルモット扱いして大金を払い好き放題したが逃げられたり戻ったりをした。